年末は、急に寒気が押し寄せ、コロナと寒さに誰もが震えているのに、ふたばっ子は、相変わらず半袖半ズボンで、肌を赤くして走り回っていた。暖房しているのに、保育室は開けっ放しで出入りしていて、全く暖房の意味がない。ふたばっ子は、なにしろ元気だ。
2学期の終業式は、このふたばっ子パワーで、伏せ目がちになった社会に喝を入れ、コロナを吹き飛ばそうと、伝統の舞「大地踊り」で締めくくった。
本園のスローガンである「たくましく大地に根を張れ、ふたばっ子」はこの舞の中に生きている。大地に根を張って、すくすくと伸び、たくましく成長していく大樹の如く、子ども達の心豊かで、健やかな未来を願う「根っ子の教育」を表現している。
ドドンという太鼓の音で、子ども達は、寒気を切り裂き、悪霊を追い払うがごとく、ヤーと声を張り上げ、気迫を込めて走り、飛翔し、両手を突き出し、大地をドンと踏みならす。まことに可憐であるからなお一層、私達大人を励ましてくれてやまない。何事もあろうと屈するな。人類は悠久の昔から、どんな困難も克服してきた。お互いを思いやり、力を合わせてこの禍を克服する祈りを、子ども達の大地踊りの舞に託した。給食室の方々、運転手さんも、わざわざ見に来てふたばっ子の迫力ある舞に、感動して涙をぬぐっていた。私達職員も胸にくるものがあった。
クリスマス、年末、年始にかけて、沢山のメール・動画・テレビ電話が届いた。昨年は、オンライン、VTRでの会議・研修会も行った。園の行事も配信した。テクノロジーのお陰で、人との交流も、便利で簡単になり、私達はいつも誰かとつながっているが、リモートであり、離れている。何か足りない。ぬくもり、匂い、質感がない。空虚で孤独である。人は、人の温もり、細やかな人の目、表情、生の声で人と関わってきた。今年は保護者の皆さんと、直接感動を一緒に味わい、共感・共有し合いたい。
コロナは、人と人を引き離し、リモートにするが、子ども達は、私達の未来であり、希望であり、愛であり、いつも私達を感動させ、励ましてくれ、人と人をつなぎ合わせてくれる。子ども達の「大地踊り」にこめられた「祈りとパワー」でコロナを吹き飛ばし、人を結び合わせ、支え合わせてくれる。今年はきっと良い年になる。良い年にしよう。