春が来た

(2023.3.01)

子どもと一緒に生活していて、大事にしているのは、子どもの気持を理解することだが、これが一番難しい。日々悩み、考える。

寒い日が続いた2月下旬、急に暖かくなった日に、子ども達と春探しの散歩に出かけました。「春を探しに行くぞ!」と言うと、子ども達から「春はどこにあるの?」。「目には見えないけど、この周りにもう来ているよ、寒い冬には、お花も、木の葉っぱもなくなり、虫も、蛙も、蛇もいなくなるけど、春になり、暖かくなると・・・」と言いかけると「お花も、木の葉っぱも、虫もでてくる。畑におじさんも」と言いました。

さあ、お散歩に出発!歩き始めると「歩こう、歩こう、私は元気、歩くの大好き♪♪」とお散歩の歌の合唱が始まりました。我先にと、私と手をつなごうとする子ども達と、私も一緒に歌いながら行くと、先に行った子が駆け戻り「春、見つけたよ」と、小さな野の花を、小さな指先につまんで差し出しました。広い野原いっぱいに、いろんな野の花が、春の息吹を伝えていました。首から下げたポケット図鑑と、花を見比べて、「ホトケノザだ」「イヌフグリだ」「ヒメオドリコソウだ」と確かめていました。梅林に来ると、今度は「梅の小枝にウグイスが、春が来たよと歌います」と歌い出しました。うぐいすはいませんでしたが、子ども達の歌声が春を一層明るくして、確かに春は来ていました。私が梅の花に顔を近づけ「いい匂い!」と言うと、「園長ゴリラ、ズルイ、自分だけ、僕たちにも嗅がせて」と、言いました。一人一人抱き上げて、梅の花に顔を近づけてやると、目を細めて「いい匂い」と言いました。さらにしばらく行くと、土手のコンクリート擁壁に、排水口がいっぱいあるところに出ました。排水口がつまっているところを、青大将が冬眠用の穴に利用しています。暖かくなると、穴から出てきて、よく日なたぼっこをしています。穴を一つ一つ覗いていると、いました。大きな青大将が、穴から出てひなたぼっこをしていました。壁の溝に沿って、ポカポカと太陽を浴びて、なんだか気持よさそうにのびていました。子ども達はびっくりして、凝視していました。後から来た子が、騒ぎ始めると、ノロノロと穴の中に戻ってしまいました。子ども達は、交代で穴の中を覗き込み、「蛇さん、こっちを見ているよ。蛇さんも春になって出てきたね」と言いました。

帰り道、崖登りをしたり、草滑りをしたりして遊びました。陽だまりの丘に立っていた紅白の梅が見事に咲き誇り、遠くの方まで、春の香りを放っていました。みんな鼻をクンクンさせて、目を細めていました。そして、今はもう春、園の周りには春がいっぱい。もうすぐ、にぎやかで、ちょっぴり寂しい、出会いと別れの季節です。