女の子たちと縄跳びをしていると、向こうから走って来たA君が、目の前で転んだ。B子ちゃんが手をたたいて「おめでとう」と言った。A君は、起き上がり目をむき、肩を怒らせて「ナンダヨー、コイツ」と怒った。「だって、私のお母さんは、私が転んだら、手をたたいて、おめでとうと言うの」と言った。私がどうしてと聞くと「転ぶと、だんだん転ばないで走れるようになるからと言ってたの」と答えた。「なるほど、転んで転んで、しっかり歩き、走れるようになるんだね」と私。しかし、A君は、まだ怒ったまま。納得できない様子で、肩をいからせたまま、黙って行ってしまった。転べば、ひざ小僧をすりむく位は、容認済なのであろう。B子ちゃんのお母さんは「いいな!」と思った。
近年は、子どもの小さなケガにも、非常に神経質になる傾向がある。少しのケガでも、激怒する保護者がいる。勿論、大きなケガにつながる危険は徹底的に排除しなければならないが、あまりにも怪我を恐れすぎると、子供も、大人も委縮してしまい、自由で活発な遊びができなくなり、かえって、危険を避ける能力が育たなくなってしまい、健やかな発達を阻害することになる。
昔の子どもは、じゃれつき、取っ組み合って遊んでいたが、最近は兄弟が少なく、取っ組み合って遊ぶことが少なくなった。又、危ないからと、すぐに止められてしまう。元々子どもは瞬間湯沸し器と言われていて、ワーと興奮してすぐに冷める。これを繰り返すと、感情をコントロールする力、自己抑制力がつくようになる。前頭葉が発達するには、じゃれつき遊びが欠かせない。
人に関わることがなく、スマホでゲームばかりに夢中になり、うつむいてばかりいると、いわゆるゲーム脳、スマホ脳になり、前頭葉が発達しなくなってしまう。他人のことを思いやったり、自分の行動の結果を予測して、これは止めようと、思いとどまったりすることができず、すぐに切れたり、暴走してしまうようになる。子ども達は、自由に、伸び伸びと遊ばせたいものだ。