「ザリガニつり失敗から学ぶことの大切さ」

(2024.7.1)

  六月の初めに、ザリガニつりに出掛けました。前日までに準備をします。まず、園の周囲にさおになるようなものを見つけに行きます。そして、さおに紐を結び、紐の先にサキイカをつけます。細いタコ糸です。紐を結んだことのない子は悪戦苦闘します。簡単に結んでしまう子もいますが、手先の器用さが問われます。手先を使うことは脳の発達に関わります。イカもしっかり結びつけないと、すぐにはずれてしまいます。意気揚々と田ン甫に向かうと我先へと釣場に走ります。勢い込んでいるので、ザリガニが食いつくとすぐに上げてしまうので、なかなか引っかからず、釣れません。そのうち、じっくりとよく噛ませ、挟ませ、待つようになります。忍耐力が育ちます。待てない子は釣れません。焦ります。焦るから、水の中に入れてはすぐに出すを繰り返し、釣れません。釣れる子から「待っていないからだよ」と指摘され、悔しい思いをします。ザリガニの習性が分かったり、隠れていそうなところを予測したり考えるようになります。想像力、予測力も育ちます。短い木の棒では、ザリガニのところまで届きません。紐の長さは、短すぎても長すぎてもダメです。短いと届きません。長すぎてもコントロールが難しく稲の葉に引っかかってしまいます。そうこうするうちに、お昼になって帰らねばなりません。釣れなかった子は「一匹も釣れなかった」とガッカリして、肩を落としています。それでも「今日釣れなくとも、どうしたら釣れるか、よく考えて、もう一度釣りにこよう。次は必ず釣ろう」と言うと、顔を上げ、「もう一度来たい」と声を上げました。


 最近は何から何まで、お母さんがしてあげてしまって、自分で何もやろうとしない子、何もできない子がいます。子どもがすることに手出ししては、子どもは発達しなくなってしまいます。まずは、自分でやることです。そして失敗することです。成功から学ぶことは難しいと思います。成功体験が足をひっぱることがあります。失敗は、なぜ失敗したか原因を考えます。そしてどうしたら上手くいくか、考えます。


 たかがザリガニ釣りだが、失敗したことを大切にしないで、同じ短い棒きれを持たせたり、紐の結び方を学ばせないで、もう一度ザリガニ釣りに行っても、無駄なことです。子ども達には何も残りません。せっかくの失敗を無意味にしてしまってはもったいないと思います。体験と失敗を大切にして、成功の喜びに共感することが重要です。