「スマホ脳」

(2026.5.1)

 スマホでの情報発信をすすめる業者がやってきて、「昨今の保護者は、SNS・インスタグラムで情報を得ている。ビジュアルで、パッと見て訴えかける一方的な情報を頭にたたき込まれ、文字なんか読まない」と言う。いくら頑張って良い内容のものを書こうとしても、読んでもらえなければ徒労に帰す。悪意のある人が、悪評価を投稿したらどうなるかと問うと「インスタの情報は操作できる。不都合な投稿はすぐに除去するように、みんな操作してますよ」と言う。とんでもない、情報操作の時代になった。

 確かに電車に乗ると、ほとんど全ての人がスマホとにらめっこしている。横から覗くと、映像を見ている。SNSで送られてくる情報に偏り、多様な情報から自分の頭で考えることが鈍麻してしまうのではと思う。歴史上、権力は暴走することがあるから、市民へ正しい情報を提供し、批判をするのがメディアの役割であるが、自分の「推し」を批判されると、既存のメディアはでたらめだと言い放つ。

 数年前に「スマホ脳」という本が売れた。内容を要約すると、次のとおり、人間の脳は、デジタル社会に適応していない。人類は、常に周囲を確認して危険を避け、新しい場所を探して、食物を獲得して生存してきた。従って、新しいものへの欲求があり、現代では、知識、情報を求め、クリックが大好きになる。例えば、スマホなしの影響調査では、学生千人にスマホなしの生活を強いると、半数が禁断症状になるという。「いいね」といったデジタルのご褒美は脳にとって、賭け事と同様に依存症に陥る。開発側は、脳科学、行動科学の専門家を雇い、心の脆弱性を利用して、私達の脳のハッキングに成功する。こうして、選挙もSNSの情報に片寄り民主主義も危うくなり、しかもデジタル軍拡競争も拡大する。IT企業のトップやシリコンバレーの研究者はデジタルの危険性を知っているので、我子をデジタル機器から遠ざけ、自然の中で思い切り、自由に遊ぶことから、人間として大切な体験をさせて教育するようにしている。

 若者達は、SNSの利用で、自分と見比べる相手が飛躍的に増え、自分の容姿や魅力に不満を感じ、自信や希望を失くし、不安や不満を感じるようになる。海外ではSNSの影響で自殺する若者が増え、規制するようになっている。学生達は講義ノートをパソコンで取るより、手書きの方が内容をよく理解しているというデータもある。デジタルで気が散り、本を集中して読むことが難しくなったという。どうかスマホの利用時間を知り、どれほど中毒になっているか、頭をアナログに戻し、正しい情報をじっくりと獲得し、自分の頭で考えるようにしたい。